肝臓内科
Hepatology
肝臓内科では、肝臓病に関する専門性の高い診療を行っています。ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、生活習慣病である脂肪肝はもとより幅広く診断・治療を行っています。
当院には肝炎医療コーディネーターが3名常駐しており、相談・支援など含めた患者サポート体制を組み、チーム医療の実践を目指しています。
日常診療においても、肝炎ウイルス検査の推進や肝炎ウイルス陽性者の受診を促すための啓発活動にも取り組んでいます。
診療のご案内
肝臓病って、具体的には何があるの?
対象疾患
急性肝炎
B型およびC型慢性肝炎・肝硬変
アルコール性肝障害(急性および慢性肝障害、肝硬変)
薬剤性肝障害
自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎など)
脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患など)
肝鉄過剰症(ヘモクロマトーシスなど)
肝腫瘍(肝がんなど)
肝硬変症の合併症(腹水、肝性脳症、食道胃静脈瘤、門脈血栓症など)
当院では、必要に応じて大学病院をはじめ近隣の高次医療機関との緊密な連携のもとに診断および治療を実施しています。また、当院には肝炎医療コーディネーターが3名常駐しており、相談・支援など含めた患者サポート体制を組み、チーム医療の実践を目指しています。
日常診療においても、検診などを活用しての肝炎ウィルス検査の推進や肝炎ウィルス陽性者の受診を促すための啓発活動に取り組んでいます。
代表的な肝臓病
B型およびC型慢性肝炎・肝硬変
B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスによる慢性肝炎に対して、肝硬変や肝がんへの進行を防ぐため、経口薬による抗ウイルス療法を行っています。
自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎など)
自己免疫性肝炎は、免疫反応に起因する肝細胞傷害が持続することで、徐々に肝硬変へ進行する病気です。
原発性胆汁性胆管炎は、肝臓の中の胆汁が流れる細い管に対する免疫反応によって胆管が破壊され、胆汁の流れが障害されることで肝細胞傷害が起き、徐々に肝硬変へと進行する病気です。両者とも早期に診断することが大切で、適切な薬物治療により肝硬変への進展が抑止できます。
原発性硬化性胆管炎は、肝臓内外の大きな胆管に炎症が持続し、徐々に胆管が狭くなり、胆汁の流れが障害されることにより肝細胞傷害を併発し、徐々に肝硬変へと進行する病気です。この病気も早期に診断し、治療を開始することが大切です。
脂肪肝
主として中性脂肪からなる脂肪滴が肝臓の細胞に貯留した状態です。診断基準は日本と欧米では異なっています。成人男性の30〜40%、成人女性の10〜20%に脂肪肝が認められます。アルコール、肥満、糖尿病が3大原因です。
脂肪肝の分類
アルコール性脂肪肝
非アルコール性脂肪性肝疾患/NonAlcoholic Fatty Liver Disease;NAFLD
非アルコール性脂肪肝/NonAlcoholic Fatty Liver;NAFL
非アルコール性脂肪肝炎/NonAlcoholic SteatoHepatitis;NASH
非アルコール性脂肪肝/NonAlcoholic Fatty Liver;NAFL
非アルコール性脂肪肝炎/NonAlcoholic SteatoHepatitis;NASH
過食、運動不足、遺伝的素因等が誘因となり、肝臓に脂肪が蓄積する病気で、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧などいわゆる生活習慣病に伴うことが多いです。病状の進行が稀な非アルコール性脂肪肝;NAFLと、炎症が持続し肝硬変や肝がんに進行する非アルコール性脂肪肝炎;NASHがあります。NASHの頻度に男女差はないと言われています。
アルコール性肝障害
長期間、通常は5年以上にわたる過剰飲酒が主な原因と考えられます。過剰飲酒とは、1日平均純エタノール60g(日本酒換算で約3合/日)以上の飲酒を言います。女性や、飲酒で顔が赤くなりやすい方は、より少ない40g/日程度の飲酒でもアルコール性肝障害を起こすことがあります。炎症が持続して肝硬変や肝がんに進行する点は、他の慢性肝炎と同様です。
どんな時に受診すればよいか?
アルコール性肝障害やNAFLD/NASHのような慢性肝疾患では、肝細胞が破壊されると肝細胞の再生よりも線維化が強く起こります。そして更に線維化が進行すると組織の硬さが増し、発癌リスクが増加します。
肝蔵の線維化や硬さはshear wave elastography;SWEという方法で調べることができます。超音波診断装置の機能で、苦痛や身体的負担がなく、「腫瘤の硬さ」や「肝臓の線維化」を検査できます。肋骨の間から針を刺して肝臓の組織の一部を採取する肝生検が肝臓の線維化診断のゴールドスタンダードですが、入院を要すること、出血や疼痛を伴うこと、サンプリングエラー、診断医による判定のばらつき等の欠点があります。当院では、Canonの超音波診断装置Aplio a / Verifiaを用いて、超音波検査をするときにSWEを行っています。SWE1.33m/s以下を正常値とし、2.57m/s以上で肝硬変と診断しています。
肝繊維化の進展を防ぐことで、肝硬変や肝細胞癌の予防に繋がりますので非常に大切な検査です。
院長ごあいさつ
埼玉県は、特にウイルス性肝炎について、公的な助成サポートも受けやすく、検診利用などで肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べることができます。これまで当院でも複数の方が検診を通してC型肝炎を発見して治療を行っています。
また、NAFLD/NASHという脂肪肝・脂肪肝炎、肝硬変、原発性胆汁性胆管炎などの自己免疫性疾患の治療も行っています。
肝臓専門医として肝疾患を広く診療していますので、どうぞご相談ください。